弁護士から借金の支払いを求める通知が届いた

 

ある日突然、弁護士や法律事務所から、以前借入をしていたが支払いができなくなってしまった(あるいは忘れていた)借金の返済を求める通知が届くことがあります。

 

突然弁護士から手紙が送られてくると、受け取った方は驚いたり慌てたりしてしまうでしょうし、その通知には「いつまでにお支払ください。」「いつまでにご連絡ください。」「期限内にお支払やご連絡をいただけない場合、あなたの資産に対する仮差押、訴訟的等の法的手段を講ずることもあります。」等と書かれていて、「すぐにお支払やご連絡をしなければ。」という気持ちになることと思います。

 

しかし、弁護士から通知が届いたからといって慌ててお支払いをしたり、連絡をしたりするのではなく、まずは落ち着いて通知の内容を確認することが重要です。

 

なぜなら、弁護士から支払を求める通知が送られてきた借金であっても、実はその請求は支払をしなくても良い借金の場合があるからです。

というのも、昔の借金の場合、最後の取引から5年以上経っている「時効の援用」という手続きを取れば支払をしなくてよくなるケースがあるのです。

 

ここでは、弁護士から届いた通知についてどう対処すればよいかについてご説明いたします。

 

通知が届いたら、まずはここをよく確認!

①請求元の会社名と請求内容を確認する

弁護士からの通知の場合には、「通知会社○○株式会社 代理人 弁護士○○」というように、弁護士に依頼した貸金業者や消費者金融業者の会社名が書かれています。

 

また、通知会社の名前に心当たりがない場合、通知をさらに読み進めていくと、元々契約した相手である会社名が記載されていることもありますので、まずは通知をよく読んで請求元の会社名を確認してみてください。

 

また、この通知には

借入年月日

請求金額

支払期限

なども書かれています。

これらの内容を確認し、ご自分に身に覚えのある借金かどうか思い返してみてください。

 

ただし、この段階で、通知に書かれている法律事務所へ連絡をするのは得策ではありません。

というのも、問い合わせたときの対応によっては、支払わなくてよかった借金を支払わなければならなくなる、といったことが起こり得るからです。

この点は、後述する「債務の承認」に関係してきます。

 

②最終取引日を確認する

届いた通知の内容が身に覚えのある借金だった場合、次に確認するのは最終取引日です。

通知には、一般的に最終取引日が書いてあります。

通知に書かれている最終取引日が5年以上前である場合、「時効の援用」という手続きを取ることによって支払をしなくてよくなる可能性があります。

 

ただし、以下のような場合は注意が必要です。

通知の中に「事件番号」という記載がある場合

昔、裁判所からなにか書類が届いたけれど、そのまま放っておいた様な気がする、という心当たりがある場合

住所を転々としていて、住民票の異動手続きをしていない場合

 

これらに当てはまる方については、コラム 支払を求める通知が届いた-3で詳しく解説しておりますので、そちらの記事も併せてご参照ください。

 

③通知に支払いについての提案や話合いによる解決の提案が書かれているかどうか確認する

通知には「話合いによる解決を念頭に置いております。回答期限までにお支払、またはご連絡をお願いいたします。」等と書かれていることがあります。

その一文を見て、「連絡をすれば裁判にならずに話合いで解決できるんだ。」と思い、まずは連絡をしてみようという気持ちになる方もいらっしゃることと思います。

 

しかし、このような提案に応じて弁護士へ連絡をし、例えば「一括では難しいので分割でお支払させてもらえないか。」「提案された金額では難しいので減額してもらえないか。」といったお話をしてしまうと、支払の意思があるとみなされて「債務の承認」をしたことになり、時効期間がリセットされてしまいます。

 

つまり、本来であれば時効の援用ができる可能性がある「最後の取引から5年以上経っている借金」でも、通知を見て弁護士に連絡をした結果、債務の承認をしたとみなされ消滅時効の期間を満たしていないことになり、時効の援用が出来なくなってしまうリスクがあるということです。

 

債務の承認については、詳しくはこちらもご参照ください。

 

では、弁護士から通知がきたらどうすればよいのか?

それでは、実際に弁護士から通知が届いたら、どのように対処すればよいのでしょうか。

通知をよく確認のうえ、次のいずれかの自身があてはまるパターンに沿って対応するのがよいと思います。

 

①全く身に覚えのない通知である場合

この場合は、架空請求や詐欺である可能性が高いです。近年、実在する弁護士や法律事務所を騙り、書面を送りつける架空請求が行われた事案も実際にありました。

 

ただし、通知に記載されている内容はよくよく検討し、少しでも気になる、忘れているだけで身に覚えがありそうな気がするというような場合には、専門家に相談された方がよいでしょう。

 

②自分は確かに借金をしていたし、通知に書かれている会社名にも覚えがあるが、

最終取引日から5年以上経過している

債権者に対して「支払をする」と申し出るなどの債務の承認もしていない

裁判や支払督促もされていない(裁判所からの手紙は届いたことがない、通知に事件名の記載がない等)

という場合には、「時効の援用」という手続きを取れば、借金の支払いを免れることができる可能性が高いです。

 

「時効の援用」をするには、債権者(貸金業者や消費者金融業者等)に書面で意思表示をする必要があります。

そのため、(通知を送ってきた弁護士とは別の)弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスをもらうのがよいでしょう。

 

③過去に借金をしていて、通知に書かれている会社名にも覚えがあり、

最終取引日から5年は経過していない、少し前までは支払をしていた

通知に事件番号が書かれている(裁判や支払督促の手続きがされている)

という場合には、通知をそのままにしておくのは厳禁です。

 

特に、裁判や支払督促の手続が完了している場合(裁判や支払督促の手続が完了していることを「確定」といいます。)、ご自身の給料や預金などが差し押さえられる可能性もありえるので、早急な対応が必要と言えます。

 

この場合には時効の援用をすることはできませんが、(通知を送ってきた弁護士とは別の)弁護士などの専門家に相談し、どのように対応をしたら良いのかアドバイスをもらうことがおすすめです。

 

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