「債務を減額できる」って広告、ホント!?

 

借金についてインターネットで調べると、「債務を減額できる」とするサイトが複数ヒットします。テレビなどの広告でも、そのように謳っているものを見たことがあるかもしれません。

 

しかし、そのようなサイトや広告を見たときに、「本当に減額できるなら嬉しいけれど、そんなうまい話があるだろうか。ウソなんじゃないだろうか」と怪しく思う方も少なくないのではないでしょうか。

 

「借金が減額できる」というのは、ウソなのでしょうか。

 

実はこれはウソというわけではないのです。

ただし、借金が減額できるというのにも仕組みがあります

 

そこで、今回のコラムでは、借金が減額できる方法とその仕組みについて解説していきます。

 

借金が減額できる方法とは!

借金を減額できる方法とはどのような方法があるのでしょうか。

 

これは、実際のところは、今までの記事やコラムでお話してきた「自己破産」「個人再生」「任意整理」「過払金請求」「時効の援用」などの手続きを行った結果のことを「借金を減額できる」と言っているものなのです。

 

それでは、これらの方法について、「なぜ借金を減額できるのか」という点に焦点を置いて一つずつ見ていきましょう。

 

・自己破産

自己破産とは、裁判所に申立てをし、①自身が借金の支払いができない状態であること、②借金の返済を免れること(免責といいます。)、の2点を認めてもらう手続きです。

 

ギャンブルによる借金であったり、クレジットカードで購入したものを支払い終わる前に売ってしまったりした場合など、免責が認められない例外的な場合もありますが、自己破産の手続きで免責が認められれば、借金は全てなくなります。

 

元々何百万円もあった債務でも、自己破産の手続きで免責が認められればその後の支払い義務は一切なくなりますので、「借金が減額できる」手続きであると言えるでしょう。

(なお、税金などについては、自己破産手続きをしても支払い義務は残ります。)

 

・個人再生

個人再生では、住宅ローンが残っている方などが、住宅を残したまま借金の整理をできる手続きです。

 

個人再生では以下のようなパターンで借金を整理して返済をしていきます。

・100万円未満の場合:その額を(原則)3年間で分割して返済する

・500万円以下の場合:100万円を(原則)3年間で分割して返済する

・1500万円以下の場合:借金の5分の1を(原則)3年間で分割して返済する

・1500万円を超える場合:300万円を(原則)3年間で分割して返済する

・3000万円を超える場合;借金の10分の1を(原則)3年間で分割して返済する

※3年間での支払いが困難である事情が認められた場合には、最長5年まで返済期間を延ばすことができます。

 

このように、個人再生では、①債務の返済総額を減額すること、②減額した債務の総額を3年間で分割して月々支払いをしていくことから、債務の総額の観点や月々に支払わなければいけない金額の観点から見て、「借金を減額できる」手続きであると言えます。

 

・任意整理

任意整理では、借金の元本自体を減額することは基本的にできませんが、以下の利息や遅延損害金等を減額することが可能です。

・経過利息:最後に返済した日から、任意整理で合意をした和解成立日までに発生する利息

・遅延損害金:借金の返済期限に支払いがされないことによる損害賠償金

・将来利息:任意整理で和解成立した時から、和解した内容で借金が完済される予定日までに発生する未来の利息

 

このように、通常任意整理では元本部分の金額は減額されないことから、あまり大きく減額したという実感は得られないかもしれません。

 

しかし、任意整理では債権者との間で例えば「残りの債務を〇カ月で分割して完済する」という交渉をすることができます。

つまり、もし「48ヶ月(=4年)かけて残りの96万円を支払う」という内容で和解が成立した場合、月々の支払いは2万円ということになります。

 

元の契約による月々の返済額よりも月々の返済額を少なくすることができたり、あるいは「〇月〇日までに一括で債務額○○円を支払わない場合には法的措置をとります」という通知書が届いている場合でも、任意整理により上記のような和解をすることができれば、一括ではなく4年に分割して支払っていくということで解決できたりします。

 

このようなことからすれば、特に月々支払っていく金額の観点からは、現状より負担が小さくなる可能性がある手続きであると言えるでしょう。

 

また、任意整理では次に説明する「過払金」が発生している場合には、借金の元本部分についてもその金額を減額することが可能です。

 

・過払金請求

過払金請求とは、本来法律で許されている利息よりも多くの利息で返済をしてきた場合(=法的に定められている利息よりも多く利息を取られていた場合)にその分を取り戻すことができるものです。

 

これまでの取引履歴を調査し、実際に過払金が生じていたという場合には、過払金が残りの借金に充当されたり、あるいは残りの借金の額を超えて過払がある、または既に完済した借金に過払金があったとわかった場合には手元にその分が戻ってきたりします。

 

このことから、過払金請求もまた「借金が減額する」手続きの方法であると言えます。

 

過払金については詳しくはこちらのQ&A等をご参照ください。

 

・消滅時効の援用

消滅時効の援用とは、最後の取引から10年以上経っている借金(最後に返済をしてから10年以上支払いをしていない等)について、「この借金は消滅時効にかかっています」と意思表示をし、支払い義務がないことを主張する手続きです。

消滅時効の援用については、詳しくはこちらをご参照ください。

 

この消滅時効の援用を主張し、実際にその借金が消滅時効にかかっている場合には、債権者はその借金については返済を要求することができなくなります。つまり、その借金については一切支払わなくてよくなるということです。

 

このことから、消滅時効の援用は借金の全てが支払い義務がなくなる、「借金が減額する」手続きだと言えます。

 

弁護士にご相談ください

このように、インターネット等でよく言われている「借金が減額できる」という広告は、全くのウソというわけではありませんが、実際にはこのような仕組みが隠されています。

 

いずれの方法についても、たとえ借金の総額の大きな減額は見込めなくても、手続きをすることで現状よりもご本人の負担が減少したり状況が改善したりする可能性は大いにあると言えます。

 

ご本人の借金の状況と照らして、どの手続きを取るのが良いかということについては、実際に専門家に相談をして検討するのが一番です。

 

弊所では借金に関するご相談も幅広く扱っております。

何かお困りのことがありましたら、是非、まずは一度弊所へご連絡ください。

 

<ご相談について>

弁護士費用についてはこちら

ご相談の流れについてはこちら