自己破産を考えているものの、自己破産をしたら家族になにか悪影響があるのではないか、というご質問を受けることがあります。
本項では、自己破産をした場合の家族への影響について解説していきます。
自己破産をした場合の家族への影響は、どのようなものがあるか？
自己破産をした場合に家族に影響が出る主なものは次の通りです。
家族への影響①－持ち家の場合、転居しなければならなくなる可能性がある
自己破産をお考えで持ち家の方の場合、住宅ローンの返済中もしくは家を担保にお金を借りているという方がほとんどでしょう。
この場合、自己破産をすると、自宅の土地建物に担保権を設定している債権者が借りたお金の回収のために土地建物を競売にかけます（競売にかける前に、債権者の方から「任意売却ができないか」という話が来ることもあります。）。
持ち家を担保に入れていないという場合でも、一定額以上の財産がある場合、破産管財人によってその財産は換価され債権者への配当に充てることになりますので、やはり自宅は売却せざるを得ないとお考えください。
家族への影響②－自動車を手放さないといけなくなる可能性がある
ローンが残っている自動車の場合、自動車ローン債権者が車を引き揚げに来ます。引き揚げのタイミングとしては、弁護士に依頼して自己破産申立をする場合であれば、弁護士が介入してすぐであることが大半です。
ローンの支払いが終わっている、または一括購入した自動車の場合、車の価値によって変わってきます。市場価値の高い車であるといった特段の事情がない限り、初度登録から5年が経っている車であれば、破産手続上は価値がないものとみなされるため、自動車は手放さずに済む可能性が高いです。他方で、新車や高級外車などの場合は、売却して債権者への配当に充てることになりますので、自動車は手放さなければならないでしょう。
なお、自動車の名義やローンの名義が家族の名義であれば、手放す必要はありません。
家族への影響③－積立型の保険を解約しないといけなくなる可能性がある
掛け捨ての保険であれば問題ないのですが、例えば生命保険や学資保険などの積立型の保険を家族に対して掛けていたとして、その保険の解約返戻金が20万円を超える場合には、保険を解約して債権者への配当に充てられることになります。
ただし、場合によっては保険を手元に残しておくことができることもありますので、専門家に相談してみるのも一つの方法です。
家族への影響④－家族が借金の保証人になっている場合、家族に借金の返済義務が生じる
自己破産をすると、破産した本人は借金の支払いをしなくてよくなりますが、家族が保証人になっている借金があると、その借金については、家族が破産した本人に代わって支払いをすることになります。
保証人が返済することになると、基本的には、債権者から一括で支払えという請求が来ますので、家族が保証人になっている借金がある場合には、特に注意が必要です。
家族が自己破産の影響を受けないものは？
逆に、よくご質問をいただきますが家族には影響がないものは以下のとおりです。
家族への影響がないもの①－家族が保証人になっている借金以外は家族に支払いの義務は生ない
自己破産をすると家族が本人に代わって借金を返済しなければならないのではないか、とよく聞かれますが、自己破産をしても家族に返済の義務が移ることはありません。
ただし、上記のとおり、家族が借金の保証人になっている場合には、その借金については返済義務が発生します。
家族への影響がないもの②－就職
自己破産をした場合、本人については、一定の期間、特定の職業には就けないという制限がありますが、家族にはそのような制限はありません。ですので、家族の就職や転職に支障が出ることはありません。
家族への影響がないもの③－家族名義のクレジットカードが止められることはない
自己破産の手続きに入ると信用情報（いわゆるブラックリストと呼ばれるもの）に情報が載るため、数年の間は新たな借り入れをすることができません。
しかし、家族まで信用情報に載るわけではありませんので、家族が持っているクレジットカードは引き続き使えますし、新たにクレジットカードを作る、あるいはローンを組む、ということは可能です。
ただし、金融機関によっては、家族の事故情報まで確認する場合もあるようで、クレジットカードやローンの申し込みをしても審査に通らないというケースも見受けられます。
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