借金でお悩みの方の中には、自己破産したら今住んでいるアパートにすみ続けられなくなってしまうのではないか、という不安を抱えていらっしゃる方もいるかもしれません。
本コラムでは、賃借物件にお住いの場合の自己破産について触れたいと思います。
自己破産をしたら賃貸借契約を解除されてしまうのか?
まず、「自己破産をしたこと」だけを理由としてアパートの賃貸借契約を解除されることはありません。
そもそも自己破産の目的のひとつは、債務者の生活の立て直しを図るという点にあります。自己破産をしたというだけでアパートの賃貸借契約が解除されてしまうことになると、住む場所がなくなってしまった債務者がその後の生活の立て直しを図ることが困難になってしまいます。
確かに、以前は、民法という法律に借主が自己破産をした場合に大家さんが賃貸借契約を解除できるという条文がありました。しかし、平成16年の民法改正でこの条文が削除されたため、現在は、大家さんにこのような権利は認められていません。
ただし、こんな場合は要注意!
ただし、家賃を滞納していた場合には注意が必要です。
というのも、家賃の滞納は賃貸借契約を解除する正当な理由になるからです。
つまり、自己破産したことを理由としてアパートから退去を求められることはなくても、家賃の滞納を理由にアパートからの退去を求められる可能性はあるのです。
ですので、自己破産しても現在のアパートに住み続けたいとお考えであれば、家賃を滞納しないよう気をつけてください。
現在のアパートに住み続けたいがすでに家賃を滞納している方の場合、滞納の期間が短く金額も少ないということであれば、自己破産をする前に延滞分を先に支払うという方法も考えられます。
ただ、自己破産をすると決めた後に特定の債権者にだけ支払をする行為は、破産手続に悪い影響が出る可能性があります(「偏頗弁済」という行為に当たる可能性があるためです)ので、支払いには注意が必要です。このような場合には、一度専門家にご相談されることをお勧めいたします。
なお、自己破産した場合、破産手続開始決定よりも前に延滞している家賃については、ほかの借金と同じように取り扱われることになりますので、裁判所からの免責決定がされれば支払いをしなくてよくなります。
とはいえ、法的に支払わなくてよくなっても、家賃を滞納していたという事実に変わりはありませんので、大家さんからは「家賃が支払えないなら出て行ってくれ」と言われてしまう可能性は高くなると言わざるを得ません。
そうなれば新たにどこか住むところを探さなければなりません。
自己破産をしてもアパートの賃貸借契約はできるのか?
では、自己破産後にアパートの賃貸借契約は締結できるのでしょうか。
結論から言うと、アパートの賃貸借契約は可能です。
しかし、家賃の保証会社が信販系列の会社だった場合には、自己破産したことの情報が信用情報(いわゆるブラックリスト)に載るため、審査が通らないことが多いと言えます。もっとも、連帯保証人を探せば審査は通りやすくなると思われます。
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