自己破産をするとすべての財産を失う?

 

自己破産をすると、すべての財産を失ってしまうと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 

本来、自己破産手続は、破産申立をした方の財産をお金に換え、法律で定められた順序に従って債権者に分配します。

しかし、本当にすべての財産を処分することになると、破産申立をした方の今後の生活が立ち行かなくなってしまいます。

そこで、法律上、一定の財産は手元に残すことができることになっています。この手元に残せる財産のことを「自由財産」と言います。

ここでは、自由財産について紹介いたします。

 

【自由財産の種類】

○新得財産

自己破産手続で処分の対象となる財産は、破産手続開始決定時に破産申立をした方が所有している財産に限られます。

そのため、破産手続開始決定後に取得した財産は、新得財産となり、処分の対象にはなりません。

この、破産申立をした方が破産手続開始決定後に新たに得た財産のことを新得財産といいます。

破産手続開始決定後に発生した給料などがこれにあたります。

 

○差押えが禁止された財産

差押えが禁止されている財産は、法律上当然に自由財産になるとされています。

差押えが禁止されている主な財産は以下のとおりです。

 

差押禁止動産(民事執行法131条)

・破産申立をした方の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用品、畳及び建具

・破産申立をした方の1ヶ月間の生活に必要な食料・燃料

・破産申立をした方が農業や漁業従事者である場合、仕事をするために必要な農機具・漁具 など

 

差押禁止債権(民事執行法152条)

・給料から税金などを控除した金額の4分の3相当部分

 ただし、給与の手取り額が44万円を超える場合には、33万円だけが差押禁止債権になります。

・退職手当の4分の3
など

また、年金や生活保護費も差押え禁止財産とされています。

 

○金銭(現金) 99万円

破産申立をした方が破産開始決定時に有している99万円以下の現金は、自由財産として取り扱われます。

この99万円は、あくまで現金に限られ、銀行預金や生命保険の解約返戻金などは含まれないとされています。

 

○自由財産拡張が認められた財産

いくら一定の財産を手元に残すことができる、といっても、破産申立をされた方の生活状況は様々です。

例えば、公共交通機関が発達しておらず、また、近所にスーパーがない地域にお住いの方が自動車を手元に残すことができないとなると、食料品の買い出しにも満足に行けない、という状況に陥ってしまうこともあり得ます。

そのため、現金や差押禁止財産といった法律で定められた自由財産以外の財産についても、裁判所の判断により、自由財産の範囲を広げることができるとされています。これを自由財産の拡張と言います。

自由財産拡張は、職権もしくは裁判所への申立に基づいて、裁判所が、破産申立をされた方の生活状況、破産手続開始決定時点での自由財産の種類や額、破産者の今後の収入の見込みなど事情を踏まえて判断します。

この自由財産の拡張により、預金や生命保険、自動車などの財産を処分せず手元に残せる場合があります。

 

○破産管財人が破産財団から放棄した財産

財産的な価値がなく買い手がなかなか見つからないような不動産など、売却してお金に換えることが困難な財産については、破産管財人は裁判所から許可を得て、破産管財人が管理する財産(これを「破産財団」といいます。)から放棄することができます。

この放棄された財産は自由財産として破産申立をした方に戻されます。

 

~終わりに~

破産手続によりどれだけの財産を手元に残せるかはその方によってまちまちです。

具体的にどこまで財産を残せるかどうかについては、まずは、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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